地方色豊かなベトナム料理

ベトナムは、国の北側は中国に接し、南側は赤道近くにまで達するS字状の細長い国です。
面積は日本の9割ほどの大きさですが、南北では気候が異なります。また国の東側は海に接しているのに対して、西側には山脈がそびえていることから、人びとの暮らしや食生活には大きな相違が見られます。

首都ハノイがある北部ベトナムは、夏は高温で湿度が高く、雨も多く降ります。
日本同様に四季の季節があり、冬になると10度前後まで気温が下がることから、ベトナム全土を南国のイメージでくくることはできません。
北部は特にデルタ地域で稲作が盛んです。料理は、甘みを抑え、全体的に薄味の感じです。海に面した土地以外では、川魚も食卓にのぼり、日本では余り食卓にのぼらないタニシなどを使った料理もあります。 中国の影響が強く、味噌や豆腐、麺などが有名です。

中部地域は、雨季と乾季があります。料理は塩気や唐辛子のピリッとした辛さが好まれるはっきりとした味付けです。ヌックマムをよく使用します。
東側の南シナ海に面する地域には、沢山の漁港があり、海の幸に恵まれています。
一方、西側は山脈に接しており、フランス植民地時代のプランテーション農業の名残が今も続いています。コーヒーや胡椒、お茶などの高原作物が作られており、洋野菜が栽培されています。かつてのフエ王宮の料理や、中華料理をベトナム風にアレンジしたものなど、過去の歴史を感じさせる食生活が残っています。


南部は、メコン川の肥沃なデルタ地帯の恵みでさまざまな食料が栽培されています。料理は暑い気候にあわせて、甘い味付けが特徴です。また酸味や塩気もはっきりしていて、コクのある味付けです。ココナッツミルクを多く使うのが特徴ではないでしょうか。
ベトナム南部の大都市であるホーチミン市は、ベトナムの経済の中心であり、ベトナム最大の都市です。バイクや車の喧騒や商店や屋台の多さなど、エネルギッシュな姿は訪れる人を圧倒させるほどです。ホーチミンでは、こってりとした味付けのベトナム南部料理を味わえる他に大都市でもありますので世界各国の味も楽しむことができます。

南部料理の特徴のひとつがココナッツや砂糖をたっぷりと用いたコクのある味付けですが、ココナッツアイスはベトナムに訪れたら是非、試していただきたい一品といえます。ココナッツの実のなかにアイスクリームを盛り、デコレーションが施されている楽しいデザートなのですが、アイスを食べながら、もしくは食べ終わったら、ココナッツの実をスプーンで削りながら食べるのが格別なのです。

また、ココナッツミルクを使用した料理で特徴的なのが、南部のバインセオです。バインセオは、言うなればベトナム風お好み焼きといった感じでしょうか。南部のバインセオは生地にココナッツミルクが入っていて、コクがあります。パリッとしたその食感が日本人にも人気があります。

バインセオ同様、パリパリ感が人気の屋台食には焼餅があります。現地ではボッチンといいます。米粉を蒸したお餅を鉄板の上で焼いたものですが、日本の焼餅とは異なり、卵でとじています。大根やニンジンのなますとヌクマムのタレをかけます。栄養たっぷりの軽食兼おやつといったところでしょうか。
屋台によっていろいろですが、南部では油を多用する傾向が強いことから、多めの油で揚げるように焼いたボッチンは皮がパリパリして特に美味しいです。

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